つみたてNISAでS&P500に投資した場合、買ってから保有し続けるのが良いのか含み益が20%になったら利益確定して再投資するのがいいのか気になりました。
そこで今回はS&P500の過去チャートでどうなるか試算してみました。
試算条件
S&P500の過去データがドルベースだったので、円では無くドルで計算していきます。
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、
パターン1:保有し続ける
パターン2:含み益が20%になったら全部売却。利益確定分を運用期間(10年=120ヶ月)に分割して再投資
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対する税金は非課税。
運用期間10年間のチャートパターンは以下の3種類。
・運用開始時よりも値上がりした場合
・運用開始時と終了時の価格がほぼ同じ場合
・運用開始時よりも値下がりした場合
運用開始時よりも値上がりした場合(2011~2021年:10年間)
これまでのS&P500のチャートの中から、運用開始時よりも値上がりした2011年から2021年で試算していきたいと思います。
全体のチャートから2011年から2021年部分を切り取ったものはこちら。
保有し続けた場合(+111%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、途中で売却したりせずに保有し続けた場合のグラフになります。
保有資産評価額:25,348ドル
元本:12,000ドル
利益率:+111%(+13,348ドル)
含み益20%で利確して再投資した場合(+32%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、含み益が20%になったら全部売却。そして、利益確定分を運用期間(10年=120ヶ月)に分割して再投資した場合のグラフになります。
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対しての税金は非課税で計算しています。
保有資産評価額:3,520ドル
利益確定分(再投資分を除く):12,268ドル
資産額(評価額+利益確定分):15,788ドル(元本:12,000ドル)
利益率(含み益+利益確定分):+32%(3,788ドル)
右肩上がりの相場は保有し続けた方がいい
最終的な資産額を1ドル=100円で計算すると、
・保有し続けた場合は2,534,800円
・20%以上で利確して再投資した場合は1,578,800円
20%で利確して再投資するよりも、保有し続けた方が956,000円高い結果でした。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
保有資産評価額 | 2,534,800円 | 352,000円 |
利益確定分 (再投資分を除く) | 0円 | 1,226,800円 |
最終資産額 | 2,534,800円 | 1,578,800円 |
利益率 | +111% (+1,334,800円) | +32% (+378,800円) |
運用開始時とほぼ横ばいの場合(2001~2011年:10年間)
次は、これまでのS&P500のチャートの中から運用開始時からほぼ横ばいの2001年から2011年で試算していきたいと思います。
全体のチャートから2001年から2011年部分を切り取ったものになります。
保有し続けた場合(+14%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、途中で売却せずに保有し続けた場合のグラフになります。
評価額:13,699ドル
元本:12,000ドル
利益率:+14%(+1,699ドル)
最大下落利益率:-36%(2009年2月)
最大下落時の評価額:5,864ドル(元本:9,100ドル)
最大下落時の評価損:-3,236ドル
20%で利確して再投資した場合(+4%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、含み益が20%になったら全部売却。そして、利益確定分を運用期間(10年=120ヶ月)に分割して再投資した場合のグラフになります。
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対しての税金は非課税で計算しています。
保有資産評価額:9,646ドル
利益確定分(再投資分を除く):2,916ドル
資産額(評価額+利益確定分):12,562ドル
元本:12,000ドル
利益率:+4%(+562ドル)
最大下落率:-42%(2009年2月)
最大下落時の評価額:2,518ドル(元本:4,311ドル)
最大下落時の評価損:-1,793ドル
相場が横ばいの場合は保有し続けた方がいい
最終的な資産額を1ドル=100円で計算すると、
・保有し続けた場合は1,369,900円
・20%で利確して再投資した場合は1,256,200円
20%で利確して再投資するよりも、保有し続けた方が113,700円高い結果でした。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
評価額 | 1,369,900円 | 964,600円 |
利益確定分 (再投資分を除く) | 0円 | 291,600円 |
最終資産額 | 1,369,900円 | 1,256,200円 |
利益率 | +14% (+169,900円) | +5% (+56,200円) |
最大下落率 | -36% | -42% |
最大下落時の評価損 | -323,600円 | -179,300円 |
先ほどの右肩上がりの相場に引き続き、横ばいの相場でも保有し続けた方が最終的な資産額が多い結果でしたが、そこまで大きな差ではありませんでした。
また、下落時に注目すると含み益20%で利確して再投資した方が最大下落率は-42%と大きいですが、小まめに利確して保有資産を減らしているので金額ベースで比較すると含み損は少ないです。
運用開始時から下落した場合(1999~2009年:10年間)
次は、これまでのS&P500のチャートの中から運用開始時から下落した1999年から2009年の場合で試算していきたいと思います。
全体のチャートから1999年から2009年部分を切り取ったものになります。
保有し続けた場合(-38%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、途中で売却せずに保有し続けた場合のグラフになります。
評価額:7,449ドル
元本:12,000ドル
利益率:-38%(-4,551ドル)
20%で利確して再投資した場合(-2%)
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、含み益が20%になったら全部売却。そして、利益確定分を運用期間(10年=120ヶ月)に分割して再投資した場合のグラフになります。
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対しての税金は非課税で計算しています。
保有資産評価額:3,057ドル
利益確定分(再投資分を除く):8,663ドル
資産額(評価額+利益確定分):11,720ドル
元本:12,000ドル
利益率:-2%(-280ドル)
下落相場の場合は20%で利確して再投資した方がいい
最終的な資産額を1ドル=100円で計算すると
・保有し続けた場合は744,900円
・含み益が20%以上で利確して再投資した場合は1,172,000円
保有し続けるより20%で利確して再投資した方が427,100円高い結果でした。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
評価額 | 744,900円 | 305,700円 |
利益確定分 (再投資分を除く) | 0円 | 866,300円 |
最終資産額 | 744,900円 | 1,172,000円 |
利益率 | -38% (-455,100円) | -2% (-28,000円) |
これまでとは違い、運用開始時から相場が下落した場合は含み益20%で利確して再投資した方が最終的な資産額が多いです。
また、利益確定して手元に資金が残っているのも大きな違いです。
結果のまとめ
10年間(120ヶ月)毎月100ドル分購入して、
パターン1:保有し続ける
パターン2:含み益が20%になったら全部売却。利益確定分を運用期間(10年=120ヶ月)に分割して再投資
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対する税金は非課税。
この条件で試算した結果をまとめたのが以下の表になります。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
右肩上がりの相場 (2011~2021年) | +1,334,800円 | +305,700円 |
横ばいの相場 (2001~2011年) | +169,900円 | +56,200円 |
下落相場の場合 (1999~2009年) | -455,100円 | -28,000円 |
相場が右肩上がりと横ばいの場合は保有し続けていた方が資産が増えています。
下落相場の場合は20%で利確して再投資した方が損失が少ないです。
・途中で売却せずに保有し続けた方がハイリスクハイリターン
・含み益が20%を超えたら利確して再投資した方がローリスクローリターン
20年間(2001~2021年)だとどうなるか
ここまでS&P500のチャートの中から3つのパターンで10年運用した時の運用結果を比較してきました。
ここからは運用開始時よりも値上がりした2001年から2021年の20年間で試算していきたいと思います。
ちなみに、20年間の場合はどこを切り取っても右肩上がりの相場だったので、右肩上がりの相場だった場合の試算しかしていません。
全体のチャートから2001年から2021年部分を切り取ったものはこちら。
保有し続けた場合(+198%)
20年間(240ヶ月)毎月100ドル分購入して、途中で売却したりせずに保有し続けた場合のグラフになります。
保有資産評価額:71,492ドル
元本:24,000ドル
利益率:+198%(+47,492ドル)
含み益20%で利確して再投資した場合(+32%)
20年間(240ヶ月)毎月100ドル分購入して、含み益が20%になったら全部売却。そして、利益確定分を10年(120ヶ月)に分割して再投資した場合のグラフになります。
つみたてNISAでの運用を想定しているので利益に対しての税金は非課税で計算しています。
保有資産評価額:6,683ドル
利益確定分(再投資分を除く):29,183ドル
資産額(評価額+利益確定分):35,866ドル(元本:24,000ドル)
利益率(含み益+利益確定分):+49%(11,866ドル)
右肩上がりの相場は保有し続けた方がいい
最終的な資産額を1ドル=100円で計算すると、
・保有し続けた場合は7,149,200円
・20%以上で利確して再投資した場合は3,586,600円
20%で利確して再投資するよりも、保有し続けた方が3,562,600円高い結果でした。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
保有資産評価額 | 7,149,200円 | 352,000円 |
利益確定分 (再投資分を除く) | 0円 | 1,226,800円 |
最終資産額 | 7,149,200円 | 1,578,800円 |
利益率 | +198% (+4,779,200円) | +49% (+1,186,600円) |
アメリカ経済の成長を信じて投資しているから保有し続ける方がシンプル
実際に試算してみると、相場が右肩上がりの場合であれば利益にかなり差があります。
保有し続けた場合 | 20%で利確して再投資の場合 | |
---|---|---|
右肩上がりの相場 (2011~2021年) | +1,334,800円 | +305,700円 |
横ばいの相場 (2001~2011年) | +169,900円 | +56,200円 |
下落相場の場合 (1999~2009年) | -455,100円 | -28,000円 |
少しの差であれば小まめに利確する方が安心できていいと思っていましたが、これだけ差があるのであれば、仮にアメリカ経済が成長しなかったとしても衰退まではしない事を信じて保有し続けてみてもいい気がします。
また、そもそもアメリカ経済が成長すると思ってS&P500に投資をしているのだから途中で利確したりせずに保有し続ける方が考え方がシンプルだと思います。
リスクを抑えて投資にチャレンジした方がいい
初めての投資だし本当に資産が増えていくのか不安。
そんな場合はローリスクローリターンの利確して再投資する方法をとってもいいと思います。
不安だから株式投資にチャレンジしない。
そうなるよりは、リスクを抑えてでも投資にチャレンジした方がいいと思います。
・途中で売却せずに保有し続けた方がハイリスクハイリターン
・含み益が20%を超えたら利確して再投資した方がローリスクローリターン
・アメリカ経済の成長を信じてS&P500に投資をするのだから、値上がりを信じて保有し続ける方が考え方がシンプル
・とは言え、初めての投資で不安だったりする場合は利確して再投資するのも一つの選択肢
・不安だから投資にチャレンジしないよりも、リスクを抑えて投資にチャレンジした方がいい
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