良い転売と悪い転売の違い

転売と聞いて一番最初に思い浮かぶのはPS5など人気で品薄商品を高値で販売している転売です。

一方で、転売の定義を「安く仕入れて高く売って利益を上げているビジネスモデル」とするなら、肉や野菜などを安く仕入れて高く売っているスーパーも転売。

どちらのも「安く仕入れて高く売っている」という点では同じです。

しかし、スーパーの転売に対して「転売ヤーは居なくなれ」という人は居ないと思います。

そこで今回は、スーパーの転売とPS5の転売の違いについて考えてみたいと思います。

目次

スーパーの転売

まず、スーパーの転売の流れを整理していきたいと思います。

スーパーの転売

【登場人物】

・生産者(農家さんなど)

・小売店(スーパー)

・消費者

商品が消費者へ届くまで

農家さん(利益:100円)

↓ 100円でスーパーへ野菜を販売

スーパー(利益:100円)

↓ 200円で野菜を販売(仕入れ100円、利益100円)

消費者は200円を支払って野菜を手に入れる

それではスーパーが存在する事でどんなメリットがあるのか登場人物の視点から考えてみたいと思います。

スーパーが存在するメリット

・農家さん(生産者)は、作った野菜をスーパーへまとめて売れるの消費者へ直接販売する手間がかからない

・小売店(スーパー)は、仕入れ値より高値で販売して利益が出る

・消費者は、スーパーで色々な種類の商品をまとめて買う事ができる

このように、スーパーの転売は生産者と消費者にメリットがあるので仕入れ値より高値で販売しても誰からも文句を言われる事はありません。

また、生産者側は、

・スーパーへまとめて売る

・消費者へ直接販売する

どちらか好きな方を選べます。

消費者側は、

・スーパーでまとめ買いする

・野菜の直売所へ行く

どちらか好きな方を自由に選ぶことが出来ます。

PS5の転売

それでは次に、PS5の転売の流れを整理していきたいと思います。

PS5の転売

【登場人物】

・生産者(ソニー)

・小売店(電気屋さん)

・転売ヤー

・消費者

生産者から消費者へ届くまで

生産者(利益:40,000円)

↓ 40,000円で電気屋へPS5を販売

電気屋(利益:10,000円)

↓ 50,000円でPS5を販売(仕入れ40,000円・利益10,000円)

転売ヤー(利益:30,000円)

↓ 80,000円でPS5を販売(仕入れ50,000円・利益30,000円)

消費者は80,000円を支払ってPS5を手に入れる

※PS5の金額と利益は適当です。

スーパーの転売とPS5の転売を比較すると違和感があるので、その原因を考えてみたいと思います。

そもそも消費者は電気屋でPS5を購入できる

生産者から消費者へ届くまで(転売ヤーが居ない場合)

生産者(利益:40,000円)

↓ 40,000円で電気屋へPS5を販売

電気屋(利益:10,000円)

↓ 50,000円でPS5を販売(仕入れ40,000円・利益10,000円)

転売ヤー(利益:30,000円)

↓ 80,000円でPS5を販売(仕入れ50,000円・利益30,000円)

消費者は50,000円を支払ってPS5を手に入れる

※PS5の金額と利益は適当です。

そもそも転売ヤーが居なくても消費者は電気屋さんでPS5を買う事ができます。

そして、転売ヤーが居る場合は消費者は80,000円支払わないとPS5が手に入りませんでしたが、転売ヤーが居ない場合は消費者はPS5を50,000円で手に入れる事ができます。

転売ヤーが間に入った事で値段が高くなれば文句の1つも言いたくなるのは当然の結果。

では、なんでPS5の転売が成立するのでしょうか。

PS5の転売が成立するのは需要に供給が追い付いていないから

PS5の転売が成立するのは、需要に供給が追い付いていないからです。

品薄で電気屋さんでは買えないから仕方なく転売ヤーから割高で買っているだけ。

電気屋さんでPS5が50,000円で買えるなら誰も転売ヤーからPS5を80,000円で買いません。

スーパーの転売とPS5の転売の違いは付加価値

では、周りから必要とされるスーパーの転売と周りから嫌われるPS5の転売の違いはどこにあるのか考えてみたいと思います。

大きな違いは転売で付加価値を生み出せているかどうか。

スーパーの転売の付加価値

・農家さん(生産者)は、作った野菜をスーパーへまとめて売れるの消費者へ直接販売する手間がかからない

・消費者は、スーパーで色々な種類の商品をまとめて買う事ができる

このように、スーパーの転売は農家さんと消費者の悩みを解決しています。

なのでスーパーが儲けたとしても文句を言う人は居ないと思います。

しかし、PS5の転売は違います。

PS5の転売では付加価値を生み出せてはいないので、PS5の供給量が安定して電気屋さんでPS5が50,000円で買えるなら誰も転売ヤーからPS5を80,000円で買いません。

むしろ、転売ヤーが居なければ電気屋さんでPS5を50,000円で買える人が一人でも増えるので周りから喜ばれます。

商品に魅力があるから高値で売れる

実際に定価50,000円のPS5が転売ヤーから80,000円で買っている人がいる。

ありがとうの対価であるお金が発生しているので転売ヤーの存在意義はあるいう意見もあります。

しかし、これは商品に魅力があるから高値で売れています

なので、本来であれば値上げ分の利益は魅力的な商品を作った生産者へ還元されるべきです。

そうすれば、上乗せ分の利益でもっと魅力的な商品を作ってくれるかもしれません。

消費者にとっては転売ヤーが儲かるより生産者が儲かった方がメリットが多いです。

PS5の転売ヤーを許容する方が楽

では、PS5の転売が無くなる方法はあるのでしょうか。

色々考えてみましたが、転売ヤーを完全に排除するより、ある程度許容した方が楽という結論になりました。

需要に供給が追い付いていない限定的なケースで発生

そもそもPS5の転売が成立しているのは需要に供給が追い付いていない限定的なケースです。

商品の人気が無くなるか供給量が増えればPS5の転売は自動的に無くなります。

生産者は定価より高値で買う人が居るのだから増産すれば全て解決すると思いましたが、問題は増産までのタイムラグ。

増産できた頃にブームが終わっていたら大量の在庫を抱える事になってしまいます。

・転売ヤーを排除する為に大量の在庫を抱えるリスクを負って供給を増やす

・もっと作れば売れるかもしれないけれど、とりあえず今作ったものは全部売れて儲かっているので転売ヤーを許容する

企業側の視点で考えると、ある程度の転売は許容した方が合理的かもしれない。

小売店と転売の線引きが難しい

次に法律などで規制できないか考えてみましたが、スーパーの転売とPS5の転売の線引きが難しいです。

安く仕入れて高く売って利益を上げているという点においてはどちらも同じです。

PS5のように人気で品薄商品の転売だけ規制して、小売店が行っている転売には全く影響がないルールを作る必要がありますが、どう線引きをしたらいいのかわかりませんでした。

需要に供給が追い付いていないイレギュラーな状況で成立しているPS5の転売を規制した結果、小売店が行っている転売に影響が出ては本末転倒。

周りから必要とされる転売ヤーになる方法

PS5の転売は道義的に問題はあるかもしれませんが違法ではありません。

だけど、誰からも喜ばれないし、商品の人気が無くなれば終わるビジネスモデルなので個人的にはPS5の転売は減った方がいいと思います。

なので、周りから必要とされる転売になる方法を考えてみたいと思います。

消費者が直接買えない場所から商品を仕入れる

PS5の転売で納得いかないポイントの一つに転売ヤーと消費者の仕入れ先が同じ電気屋さんであることがあります。

なので、海外から輸入するなど消費者が直接買えない所から商品を仕入れていれば転売の付加価値が生まれます

最近は、Google翻訳があるので個人でも海外から輸入しやすくなったとは言え、

・よくわからない海外のお店から買うのは不安

・少量であれば送料が割高

ニッチな商品であれば参入するチャンスはあると思います。

ひと手間加える

消費者が直接買えない所から商品を仕入れる事が難しければ、仕入れた商品に何かひと手間加える事で付加価値を生み出す方法もあります。

例えば、

・100個単位でしか買えないモノを1個単位で買えるようにする

・ハンドメイドのように仕入れた材料を加工する

周りから喜ばれる転売はビジネスとして継続できる

周りから必要とされるスーパーの転売と周りから嫌われるPS5の転売の違いは転売で付加価値を生み出せているかどうか

付加価値を生み出せている転売であれば、人気によって商品の売れ行きは多少左右されるかもしれませんが、需要に供給が追い付いたらビジネスが終わるといったことはありません。

また、人気で品薄商品を探し続ける必要もありません。

見つかるまでは大変ですが、付加価値を生み出す転売を見つけられれば

・周りから喜ばれてお金は稼げる

・ビジネスとして成り立つ

長期的にはこっちの方が儲かると思うので、周りから喜ばれる転売を目指してみてはいかがでしょうか。

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