
宝くじはギャンブルより健全なイメージがありますが、実は宝くじの方が還元率が悪かったり、宝くじの売上金額の一部は地方の公共事業に使われているので「愚者の税金」とも言われています。
なので宝くじは買ってはいけないと言われています。
確かに宝くじはお金を合理的に増やす手段では無いと思います。
ただ、本気でお金を増やそうと思って宝くじを買っている人は少ないのではないでしょうか。
・当選番号が発表されるまでのドキドキ感
・「1億円が当ったらどうしよう」と会話のネタになる
1枚300円の宝くじで当選発表まで楽しめる事を考えると、かなりコスパがいい遊びだと思います。
はたして、「宝くじ=無駄」なのでしょうか。
そこで今回は、他の記事と差別化するためにも「宝くじは価値のある浪費」という視点で、「無駄なお金の使い方」を考えてみたいと思います。
宝くじのお金の流れ

宝くじが良いお金の使い方かどうかを考える前に、まずは宝くじのお金の流れをチェックしていきます。
宝くじの目的は地方の公共事業費を集めるため

そもそも、誰が何の目的で宝くじを販売しているのでしょうか。
答えは、地方自治体が地方の公共事業費を集める為に販売されています。
運のいい億万長者を生み出す為ではありません。
これは、宝くじの法律「当せん金付証票法」で明記されています。
当せん金付証票法
第一条 (この法律の目的)
この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、
もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする。
ちなみに、宝くじは地方自治体しか販売することができなくなっていて、一般の個人や会社などが販売することは刑法第187条で禁止されています。
違反した場合は、二年以下の懲役または150万円以下の罰金。
当せん金は集めたお金の47%

宝くじは目的は地方自治体が地方の公共事業費を集めるためですが、売上金額の何割が公共事業に使われているのでしょうか。
宝くじ公式サイトに売上金額の使い道の内訳が公表されています。
宝くじの売上金額の使い道
・47%:当せん金
・36.6%:公共事業
・15%:販売経費
・1.4%:広告費
売上金額の約37%が地方の公共事業に使われています。
当せん金として還元されるのは売上金額の47%。
この還元率の悪さと、宝くじという名目で間接的に地方の公共事業費を集めているので、
・宝くじは買ってはいけない
・宝くじは愚者の税金
と言われています。
ちなみに、宝くじの法律「当せん金付証票法」の第5条で還元率は50%未満になるように決められているので、年度によって多少前後はするものの還元率が50%以上になる事はありません。
当せん金付証票法
第五条(当せん金付証票の当せん金品の限度)
当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。
では、地方競馬など他の公営競技の還元率はどれぐらいなのでしょうか。
宝くじ | 競艇 | 競輪 | オートレース | 競馬 | |
---|---|---|---|---|---|
法律 | 当せん金付証票法 | モーターボート競争法 | 自転車競技法 | 小型自動車競争法 | 競馬法 |
目的 | 地方財政資金の調達 | ・船舶産業の振興 ・公益の増進 ・地方財政の改善 | ・船舶産業の振興 ・公益の増進 ・地方財政の健全化 | ・船舶産業の振興 ・公益の増進 ・地方財政の健全化 | 畜産の振興 |
払戻金 | 販売総額の50%未満 | 売上金の 75~80% | 売上金の75%以上 | 売上金の75%以上 | 売得金の73.8~82% |
宝くじと同じように他の公営競技も法律で還元率が定められていて、還元率は75%前後となっています。
宝くじの方がギャンブルより健全なイメージですが、実は宝くじの方が還元率が低いです。
ただし、これはあくまでも1回当たりの還元率です。
詳しくは後で触れますが、実質的な還元率で比較すると宝くじの方が還元率が良い場合もあります。
宝くじの悲しい現実
・宝くじは地方自治体が地方の公共事業費を集める目的で販売されている
・宝くじの売上金額の約37%は地方の公共事業に使われている
・当せん金として還元されているのは売上金額の47%
・1回当たりの還元率は他のギャンブルより低い
そもそも遊びで宝くじを買っている

ここまで、宝くじのお金の流れを見てきました。
還元率の低さや売上金額が地方の公共事業に使われるので、経済的合理性を考えると宝くじを買ったら買った分だけ損をする計算になります。
「宝くじを買って、当たって増えたお金は老後資金に回そう」
こんな風に本気でお金を増やそうと思って宝くじを買っているなら今すぐ辞めた方がいいと思います。
ただ、実際に宝くじを買っている多くの人は遊びで買っている場合が多いと思います。
宝くじを買う目的
・当たらない可能性が高いのは知っている
・当選番号が発表されるまでのドキドキ感を楽しみたい
・「1億円当ったらどうしよう」という妄想を楽しみたい
・会話のネタになったらいい
こっちは遊び半分で買っているのに経済的合理性の話を持ち出されてもイマイチ響かないのは、このミスマッチが原因。
では、遊びで宝くじを買う事は無駄なのでしょうか。
他のギャンブルよりハマってしまうリスクが低い

宝くじより競馬など他のギャンブルの方が還元率が高い。
だったら、遊びで買うにしても少しでも還元率のいい競馬とかをやればいいのではと思うかもしれません。
しかし、他のギャンブルはハマってしまうリスクが高いので遊びで買うのはおススメしません。
ギャンブルに手を出した時点で負けである理由
・自分の選択次第で当たる確率が変わる
・運よく勝てれば味を占めてまたギャンブルに行く
・負けたとしても、負けが悔しくてどうすれば勝てる確率が上がるか調べて実践したくなる
・一日に何レースもやっている
また、競馬などは1回当たりの還元率は宝くじより高いかもしれませんが、実質的な期待値は違ってきます。
競馬(還元率:75%)で1日に3レース賭けた場合
75%×75%×75%=42.2%(期待値)
競馬に行ったことがある人はわかると思いますが、少なくとも2.3レース以上は賭ける場合が多く、1レース賭けただけで帰ることはぼぼありません。
1回当たりの期待値で考えると「競馬:還元率75%>宝くじ:還元率47%」ですが、他のギャンブルは一日に何レースもあるので賭ければ賭けるほど期待値は下がっていき、宝くじの方が還元率が高くなる場合もあります。
また、ハマってしまうリスクが低いという点では宝くじは優秀。
宝くじにのめり込みにくい理由
・いくら考えても当たる確率は変わらない
・一日に何回も宝くじが行われない
自分の選択次第で当たる確率が変わると、
「さっきのハズレを踏まえて、色々考えたから次は当たる確率が上がっているはずだ。」
こんな風に思い浮かんだ自分の仮説が正しいかどうか試してみたくなります。
しかし、宝くじの場合は、いくら頭を使って考えた所で当たる確率は変わりません。
仮に宝くじを当てる確率を上げる方法が思い浮かんだとしても、一日に何回も宝くじは行われないので頭を冷やす時間があります。
このように、遊び半分で宝くじに手を出した所でハマってしまうリスクが低いので安心です。
宝くじが価値のある浪費になる事もある
ここまでの話を踏まえて、遊びで宝くじを買うことがお金の無駄使いなのか考えていきたいと思います。
宝くじがただの浪費になる場合
・買いたくないけど、みんなでのノリに合わせて買ってしまった
・お金が増える事を期待して買っている
そもそも宝くじの目的は地方の公共事業費を集める事で、当せん金として還元されるのは売上金額の47%しかありません。
なので、お金が増える事を期待して買うなら無駄だと思います。
最近は少額でも株を買う事が出来るので、お金が増える事を期待して宝くじを買うぐらいなら投資に使った方が次に繋がるのでいいと思います。
宝くじが価値のある浪費になる場合
・宝くじのお金の流れを知った上で納得して買っている
・当たるかどうかのワクワクを楽しむために買っている
・会話のネタの為に宝くじを買っている
しかし、宝くじが無駄なお金の使い方とはならない場合もあります。
そもそもお金を増やそうとはしておらず、会話のネタや当たるかどうかのワクワクを楽しむためであれば、無駄なお金の使い方では無いと思います。
もちろん、宝くじを購入する金額にもよります。
「貯金が増えたら幸せなのか。無駄なモノにお金を使うと不幸になるのか。」
あくまでも、お金はモノ・サービスの引換券。
使ってこそ価値があると思います。
もちろん、貯金は大切。全く貯金が無いのはいけません。
ですが、モノ・サービスの引換券ばかり溜めていても意味が無いと思います。
要はバランスが大切。
ネット上にはいろいろな情報が溢れていますが、宝くじに限らず無駄なお金の使い方かどうかは人によって違うと思います。
自分にとって価値があるものにお金を使えているのかどうかが重要
人からどう言われようが、自分にとって価値があるものにお金を使えているかが大切だと思います。
今回は他の記事と差別化するためにも「宝くじは人生を豊かにする浪費」であるという視点で、無駄なお金の使い方を考えてみました。
この記事が少しでも役に立てばうれしいです。