
最近、ネット上で「貯蓄型保険はぼったくり、すぐに解約した方がいい」というのをよく見ます。
この記事を見てドキッとしました。
なぜなら昔、保険の営業マンに言われるがまま貯蓄型生命保険に入っているからです。
そこで今回は貯蓄型生命保険を解約するかどうか比較検討していきたいと思います。
今回は終身型生命保険について解約を考える
「貯蓄型保険」と言うワードを聞いたことがあると思いますが、保険商品のラインナップに「貯蓄型保険」はありません。
なので、まずは「貯蓄型保険」が何の保険のことを言っているのか整理しておきます。
支払った保険料を解約返戻金として受け取ることができる保険
・生命保険(終身型)
・医療保険(終身型)
満期がきたらお金が受取れる保険
・学資保険
・個人年金保険
今回は支払った保険料を解約返戻金として受け取ることもできる「生命保険(終身型)」を解約するかどうか考えていきます。
契約している終身型生命保険の概要
まずは契約している終身型生命保険(変額)の概要はこんな感じ。
・保険料の支払いは60歳で終了
・死亡保障は一生涯受けられる
・保険を解約したら解約返戻金を受け取れる
・保険会社の運用結果で解約返戻金の額が変動する(死亡時の保険金額は運用結果に関わらず一定)
それでは、月々の支払額と保険料を見ていきます。
・毎月の保険料(60歳で終了):10,000円
・60歳までの総支払額:380万円
・死亡時の保険金(一生涯):600万円
・死亡時の損益:+220万円
・現時点での保険料支払い総額:76万円
・解約返戻金:58万円
今解約すると18万円のマイナス。辛い。
保険を契約して約7年なので、年間26,000円の保険料で7年間死亡保障を受けれていたと考えるとまだダメージが少ない。
終身保険のメリット
終身保険のメリット
・死亡時の保険金を必ず受け取れる
終身保険のメリットとしては、死亡保険金が必ず受け取れるので支払った保険料が無駄になりにくいです。
人はいつか死んでしまうので、保障が一生涯続く終身型の生命保険を契約し続けていれば必ず死亡保障を受け取ることができます。
契約している終身保険で平均寿命の80歳で死んだ場合
・60歳までの総支払額:380万円
・死亡時の保険金(一生涯):600万円
・死亡時の損益:+220万円
保険料の支払総額よりも受け取れる保険料が204万円多い計算になります。
ただし、自分は死んでいるので保険金は残された家族のためのお金になります。
一方、掛け捨ての生命保険は保険の契約期間が65歳までの場合が多く、長生きした場合は保険金が受取れません。
終身保険のデメリット
終身保険のデメリット
・終身保険は月々の保険金が高い割に死亡保障額が少ない
・資金が長期間拘束される
次に、終身保険のデメリットは月々の保険料の割に死亡保障額が少ないです。
下の表はネットで見積もりができるライフネット生命の定期生命保険(掛け捨て保険)と自分が契約している終身保険を比較した表です。
保険期間は子どもが成人するまでの20年間にしています。
定期保険 | 契約している終身保険 | |
---|---|---|
月々の保険料 | 1,000円 | 10,000円 |
保険期間 | 20年 | 一生涯 |
支払い総額 | 24万円 | 380万円 |
死亡保険金 | 600万円 | 600万円 |
80歳で死んだ場合 | 死亡保険金0円 | 死亡保険金600万円 |
80歳で死んだ場合の損益 | -24万円 | 220万円 |
同じ死亡保障600万円の場合
・定期保険(掛け捨て保険):月1,000円
・終身保険:月10,000円
保険料の支払い総額
・定期保険(掛け捨て保険):支払い総額24万円
・終身保険:支払い総額380万円
このように月々の保険料と支払い総額が全然違います。
昔に契約した保険は予定利率が高いので保険料が割安
それではここから、今契約している終身保険を解約するかどうか考えていきたいと思います。
まず知っておきたいのは、昔に契約した終身保険は今より保険料が割安である可能性が高いことです。
生命保険会社はあらかじめ資産運用収益を見込んで、その分保険料を割り引いています。
この割引率を「予定利率」と言い、
・予定利率(割引率)が上がると保険料は下がる
・予定利率(割引率)が下がると保険料は上がる
そして、掛け捨て保険よりも支払った保険料を解約返戻金としても受け取れる終身保険の方が予定利率の影響を受けます。
契約年 | 予定利率 |
---|---|
昭和60年 | 6% |
平成2年 | 5.75% |
平成5年 | 4.75% |
平成6年 | 3.75% |
平成8年 | 2.75% |
平成11年 | 2.00% |
平成13年 | 1.50% |
平成25年 | 1.00% |
平成29年 | 0.25% |
このように、予定利率(保険料の割引率)は年々下がっていて、今は保険料の割引率が低いです。
なので、今保険に入るなら終身保険ではなく掛け捨て保険がおススメです。
しかし、昔に入った終身保険は違います。
平成25年頃に契約した自分の終身保険で、60歳までの総支払額が380万円に対して、死亡時の保険金(一生涯)は600万円です。
もっと昔に契約した保険であれば、同じ600万円の死亡保障でも保険料の支払総額が少ないはずです。
もしかしたら、今では考えられない良い条件の保険である可能性もあります。
・昔は予定利率(保険料の割引率)が高かったので保険料が割安
・今は予定利率(保険料の割引率)が低いので、昔と比べて保険料が割高
投資と違い将来の利益が確定している
投資の場合は80歳で死んだ時に、資産がいくら増えているか減っているかわかりません。
しかし、終身保険の場合は違います。
自分が契約している終身保険であれば、
・60歳までの総支払額:380万円
・死亡時の保険金(一生涯):600万円
・死亡時の損益:+220万円
60歳まで保険料を支払い続ける事ができれば、死亡した時に220万円の利益が確定しています。
これは、毎月積立額1万円を年率3%で30年間運用した場合と同じです。
インデックス投資の利回りが5%と言われているので、それよりも利回りは3%と少ないですが将来の利益が確定しているので、資産形成の1つの選択肢として残しておいても良い気がします。
・インデックス投資の想定利回りよりも低い利率だが、将来の利益が確定している
不足している保障は掛け捨て保険で補う
終身保険の保険金で必要な額の死亡保障にしようとすると、毎月の保険料がかなり高額になってしまいます。
そんな場合は、不足している保障額を掛け捨て保険で補う方法もあります。
・掛け捨て保険のみ:死亡保障2,000万円
・終身保険:死亡保障600万円+掛け捨て保険:死亡保障1,400万円
この条件で比較するとこんな感じです。
掛け捨て保険 | 掛け捨て+終身 | |
---|---|---|
月々の保険料 | 2,900円 | 12,000円 |
保険期間 | 20年 | 20年+一生涯 |
支払い総額 | 70万円 | 430万円 |
死亡保険金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
平均寿命81歳で死んだ場合 | 0円 | 600万円 |
平均寿命で死んだ場合の損益 | -70万円 | 170万円 |
「掛け捨て+終身保険」の方が、月々の保険料は増えますが最終的にはプラスになり、支払った保険料が無駄になりにくいです。
「掛け捨て+終身保険」のメリット
・無駄になる保険料が少ない
「掛け捨て+終身保険」のデメリット
・月々の保険料の負担が大きい
終身型の生命保険を解約しない
予定利率(保険料の割引率)が今よりも少しだけ良かった時に契約した終身保険なので、60歳までの総支払額が380万円に対して、死亡時の保険金(一生涯)は600万円です。
これは、毎月積立額1万円を年率3%で30年間運用した場合と同じです。
また、投資の場合は自分が死ぬ時にお金をいくら残せるかわかりませんが、保険の場合は家族に確実にこれだけのお金が残せることがわかります。
なので、貯蓄型保険は無駄だと言われていますが終身型の生命保険を解約しないという結論になりました。
ただしこれは、今よりも予定利率が良かった時に契約した終身保険だから継続するだけです。
今から終身保険に入るのはおすすめしません。